建築士事務所登録とは
建築士事務所とは
建築士事務所の登録
以下の内容に該当する方は建築士事務所の登録を受けなければなりません。
- 他人の求めに応じ報酬を得て、設計等を行うことを業としようとする方
- 建築士を使用して、他人の求めに応じ報酬を得て、設計等を行うことを業としようとする方
上記に規定する「設計等」とは、以下の業務を指します。
- 建築物の設計
- 建築物の工事監理
- 建築工事契約に関する事務
- 建築工事の指導監督
- 建築物に関する調査または鑑定
- 建築に関する法令または条例に基づく手続きの代理
なお、建設業者が請負の一環として事実上の設計等を業として行う場合は、建設業許可の他に建築士事務所の登録が必要です。
建設業許可に関しては、建設業許可申請代行センター http://www.u-kensetsu.com/ をご参照下さい。
無登録で報酬を得て設計等を業として行った場合は、懲役または罰金に処されます。
建築士事務所登録は、建築士事務所の所在地の都道府県知事ごとになります。
法人等で事務所を支店、営業所等を設け、そこにおいて設計等の業務を行う場合には、それぞれ建築士事務所の登録が必要になります。
登録の有効期間は5年間で、登録があった日から5年目の登録日に対応する日の前日に満了します。有効期間満了後も引き続き業務を行おうとする方は、満了日前30日までに更新の登録申請をしなければなりません。更新の手続を行わない場合は、登録は抹消となります。
東京都建築士事務所協会登録センターでは、満了日の2ケ月前から更新の受付を行っております。
建築士事務所登録後は、事務所開設者は、建築士法により、設計等の業務に関する報告書の提出、再委託の制限、帳簿・図書の保存、標識の掲示、書類の閲覧、設計・工事監理契約の際の重要事項の説明、書面の交付等の義務があります。
管理建築士とは
建築士事務所は、専任の建築士が管理をしなくてはなりません。
1級建築士事務所は専任の1級建築士が管理をし、2級は2級建築士、木造は木造建築士が専任として管理をしなくてはなりません。
管理建築士になるためには、建築士として3年以上の設計等の業務に従事した後、指定登録講習機関が行う管理建築士講習の課程を修了した建築士でなければなりません。
管理建築士の専任性とは、事務所に常勤し、専ら管理建築士の職務を行う必要があります。他社の代表取締役や社員、個人事業主など兼職している者、自社の監査役などは管理建築士になることは出来ません。他社非常勤役員は管理建築士になることができる場合もございますが、ケースにより異なりますので、予めご相談下さい。
同一法人・同一事務所においては、建設業許可の経営業務管理責任者・専任技術者、宅地建物取引業の宅地建物取引主任者など専任性を有する地位を兼任することが可能です。
- 1人の建築士が複数の建築士事務所の管理建築士となることは出来ません。
- 1つの建築士事務所登録に、複数の管理建築士を置くことは出来ません。
- 派遣労働者は管理建築士になれません。
- 管理建築士が不在となった場合は、廃業事由に該当し、30日以内に廃業等の届出をしなければなりません。
管理建築士は、1事務所1人という考え方で、同一法人で複数事務所がある場合は各事務所ごとに管理建築士が必要となります。
管理建築士の専任性(常勤性)を証明する資料
建築士事務所登録の申請をする際、管理建築士が当該事務所に常勤していることを証明する資料を添付しなくてなりません。
登録申請者(通常は法人であれば代表者)が管理建築士を兼任する場合は、添付は不要です。登録申請者と管理建築士が異なる場合は、以下のいずれかの資料を提出する必要があります。
- 健康保険被保険者証(事業者名と管理建築士の氏名が記載されているもの)
- 雇用保険被保険者証(事業者名と管理建築士の氏名が記載されているもの)
- 住民税特別徴収税額通知書(事業者宛てのもの)
- 法人確定申告書の表紙と役員報酬明細(受付印押印のあるもので役員に限る)
- 新規設立会社で上記いずれの資料も準備ができない場合は、協会所定の誓約書に登録申請者と管理建築士の実印を押印、各々印鑑証明書を添付
管理建築士講習
管理建築士になるためには、建築士として3年以上の設計等の業務に従事した後、指定登録講習機関が行う管理建築士講習の課程を修了した建築士でなければなりません。新規建築士事務所登録申請の場合は、管理建築士講習修了証の写しを必ず添付しなくてはなりません。
平成23年11月28日以降の更新申請も管理建築士講習修了証の写しを必ず添付しなくてはなりません。
平成20年11月27日時点で管理建築士となっており、そのまま継続している場合、要件を満たすための3年間の講習猶予期間が規定されています。
経過措置期間後(平成23年11月28日以降)に未受講の場合、その者が管理する建築士事務所は、建築士事務所の登録が抹消されますのでご注意下さい。登録が取り消された場合、当該事務所の開設者は、処分以後、5年間登録申請者となることが出来ません。
定期講習
所属事務所に所属している建築士は、平成24年3月31日までに、初回の定期講習(建築士法第22条の2)を受講し、修了する必要があります。
設計等を業とする限り、その後3年度ごとに定期講習を受講する必要があります。
平成24年4月1日以降に未受講のままですと、懲戒処分の対象となりますのでご注意下さい。
建築士事務所登録申請に必要な書類
建築士事務所登録申請には以下の書類を作成し提出する必要があります。
提出書類はケースにより異なる場合もありますので、予め当事務所または協会に確認の上ご準備下さい。
法人の場合
- 建築士事務所登録申請書
- 業務概要書(新規申請は不要)
- 所属建築士事務所名簿(管理建築士を含む全員を記入)
- 所属建築士名簿(その2)(管理建築士を含む全員を記入)
- 略歴書(登録申請者・管理建築士)
- 誓約書
- 定款の写し(末尾に会社代表印の押印必要)
- 履歴事項全部証明書(3カ月以内のもの)
- 事務所の賃貸借契約書(事務所所在地が登記上の所在地と同一の場合は不要)
- 法人事業税納税証明書(新規に設立した会社で決算期未到来の会社は都税事務所に提出した法人設立の届出の写し)
- 管理建築士の住民票(3カ月以内のもの)
- 建築士免許証の写し(提出の際は原本を持参し照合作業が必要となります)
- 前職場の退職証明(前職場退職から6カ月以内の場合)
- 専任証明資料(管理建築士とは参照)
- 管理建築士講習修了証の写し
- 定期講習修了証の写し
設計等の業務に関する報告書提出義務
建築士事務所の情報開示の一環として、建築士事務所開設者は、設計等業務に関する報告書を、毎事業年度終了後3ヶ月以内に都道府県知事に提出の義務が定められました。
改正建築士法が施行された平成19年6月20日以降、新たに始まった事業年度分について、その事業年度が終了して3ヶ月以内に提出する必要があります。新規で建築士事務所登録をする場合、登録から最初に到来する会社の決算月から3カ月以内に設計等業務の報告をしなくてはなりません。
報告事項は以下の通りとなります。
- 設計等の業務に関する報告書(第一面)
- 当該事業年度における事務所の実績(第二面)
- 所属建築士の氏名等(第三面)
- 建築士ごとの業務の実績(第四面)
- 管理建築士の意見の概要(第五面)
改正建築士法により「報告書を提出せず、または虚偽の記載をして報告書を提出した者」には、30万円以下の罰金が科せられることになります。また、行政処分としての懲戒処分等の対象になります。
建築士事務所開設者のその他の義務
再委託の制限
委託者(発注者)の承諾を得た場合でも、委託を受けた設計または工事監理の業務を建築士事務所の開設者以外に再委託することは出来ません。また、階数が3以上、かつ、床面積の合計が1,000㎡以上の共同住宅で新築工事にかかるものについては、委託者が承諾した場合であっても、他の建築士事務所開設者に当該委託を受けた設計または工事監理の丸投げは禁止されています。
帳簿・図書の保存
建築士事務所の開設者は、その業務に関する帳簿及びその建築士事務所に所属する建築士が建築士事務所の業務として作成した建築士でなければ設計できない設計図書等を、作成した日から起算して15年間保存しなければなりません。
帳簿の記載事項
- 契約の年月日
- 契約の相手方の氏名または名称
- 業務の種類・その概要
- 業務の終了の年月日
- 報酬の額
- 業務に従事した建築士及び建築設備士の氏名
- 業務の一部を委託した場合にあっては、当該委託にかかる業務の概要ならびに受託者の氏名または名称および住所
- 管理建築士が開設者に対し、必要な意見が述べられたときは、当該意見の概要
保存する図書
保存する図書は、建築士事務所に属する建築士が建築士事務所の業務として作成した設計図書のうち、以下に定めるものまたは工事監理報告書で法第3条から第3条の3までの規定により建築士でなければ作成することが出来ないもの(作成した日から起算して15年を経過したものを除く)
- 配置図、各階平面図、二面以上の立面図及び二面以上の断面図
- 当該設計が建築基準法第6条第1項第2号または第3号にかかるものであるときは、前項の他、基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図、構造詳細図および構造計算書
標識の掲示
建築士事務所の開設者は、建築士事務所内の公衆の見やすい場所に標識を掲示しなくてはなりません。
標識の大きさは、縦25㎝以上、横40cm以上で、記載内容は、
- 建築士事務所の名称
- 登録番号
- 開設者名
- 管理建築士名
- 登録の有効期間
等を記載しなければなりません。
書類の閲覧
建築士事務所の開設者は、
- 自らの建築士事務所が行った業務の実績
- 所属建築士の氏名・業務の実績
- その他下記国土交通省令(同法施行規則第22条の2)に定める事項を記載した書類
- 設計等の業務に関し生じた損害を賠償するために必要な金額を担保するための保険契約の締結等を講じている場合はその内容を記載した書類
- 建築士事務所の名称・所在地
- 建築士事務所の開設者の氏名
- 建築士事所の1級、2級、木造建築士の別
- 登録番号
- 登録の有効期間
- 所属建築士の氏名・その者の1級、2級、木造建築士の別・登録番号・直近に受けた定期講習の日付・構造、設備設計一級建築士及び管理建築士である場合はその旨など
- 設計図書の種類
- 工事と設計図書のとの照合の方法・工事監理の実施の状況に関する報告の方法
- 設計または工事監理に従事することとなる建築士の氏名・1級、2級、木造建築士の別、構造・設備設計1級建築士である場合はその旨
- 報酬の額・支払時期
- 契約解除に関する事項
- その他建築士法施行規則で定める事項
- 設計または工事監理の種類・その内容
- 設計または工事監理の実施の期間・方法
- 報酬の額・支払の時期
- 契約解除に関する事項
- 建築士事務所名称・所在地
- 契約年月日
- 契約の相手方の氏名または名称
- 設計または工事監理に従事する建築士・建築設備士の氏名
- 設計または工事監理の一部を委託する場合にあっては、当該委託にかかる設計または工事監理の概要ならびに受託者の氏名または名称・住所など
- 建築士事務所登録事項変更届
- 履歴事項全部証明書(3ヶ月以内のもの) ※個人事務所の場合は不要
- 建築士事務所登録事項変更届
- 履歴事項全部証明書(3ヶ月以内のもの) ※個人事務所の場合は不要
- 事務所の賃貸借契約書等の写し(登記上の所在地と同一の場合は不要) ※個人事務所の場合は住民票
- 建築士事務所登録事項変更届
- 略歴書
- 誓約書
- 履歴事項全部証明書(3ヶ月以内のもの) ※個人事務所の場合は不要
- 建築士事務所登録事項変更届
- 履歴事項全部証明書(3ヶ月以内のもの)
- 建築士事務所登録事項変更届
- 所属建築士事務所名簿(管理建築士を含む全員を記入)
- 所属建築士名簿(その2)(管理建築士を含む全員を記入)
- 略歴書(登録申請者・管理建築士)
- 誓約書
- 管理建築士の住民票(3カ月以内のもの)
- 建築士免許証の写し(提出の際は原本を持参し照合作業が必要となります)
- 前職場の退職証明(前職場退職から6カ月以内の場合)
- 専任証明資料(管理建築士とは参照)
- 管理建築士講習修了証の写し
- 定期講習修了証の写し
-
上記を、建築士事務所に3年間備え置き、設計等を委託しようとする建築主(建築主になろうとする者を含む)の求めに応じ、閲覧させなければなりません。
「国土交通省令(同法施行規則第22条の2)」
設計・工事監理契約の際の重要事項説明
建築士事務所開設者は、設計または工事監理契約を締結しようとするときは、予め建築主に対し、管理建築士または所属建築士をして、設計委託契約または工事監理委託契約の内容及びその履行に関する事項を記載した書面を交付して説明させなければなりません。
「重要事項説明内容」
書面の交付
建築士事務所の開設者は、設計受託契約または工事監理受託契約を締結した時は、以下の事項を記載した書面を当該委託者に交付しなければなりません。
「書面記載事項」
立入検査協力義務
正当な理由なく立ち入り検査を拒む等の行為を行うと罰せられることがあります。
各種変更届出
建築士事務所登録後、以下の変更事項に該当する場合は、当該変更事項が生じた日から14日以内に変更の届出をしなくてはなりません。
建築士事務所の名称
建築士事務所の所在地
建築士事務所の開設者名
代表者名
商号(会社名)
管理建築士
廃業等の届出
下記の事由に該当することとなった場合は、届出者は30日以内に廃業届を提出しなければなりません。
また、事務所に管理建築士がいなくなった場合も30日以内に廃業届をしなければなりません。
建築士事務所の開設者が、その業務を廃止したとき
開設者であったものは登録通知書を併せて提出。登録通知書がない場合は、印鑑証明書が必要。
建築士事務所の開設者(個人の場合)が死亡したとき
その相続人は登録通知書を併せて提出。登録通知書がない場合は、印鑑証明書が必要。その他死亡を証する戸籍謄本(抄本)・相続人との関係を証する戸籍謄本(抄本)
建築士事務所の開設者(法人含む)が破産をしたとき
その破産管財人は登録通知書を併せて提出。登録通知書がない場合は、元役員個人の印鑑証明書が必要。その他解散の事実を証する登記簿謄本(閉鎖事項全部証明書)
法人が合併または破産以外の理由により解散したとき
その清算人は登録通知書を併せて提出。登録通知書がない場合は、清算人の印鑑証明書が必要。その他解散の事実を証する登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
法人が清算結了により消滅した時
その役員であった者は登録通知書を併せて提出。。登録通知書がない場合は、元役員個人の印鑑証明書が必要。その他清算結了の事実を証する登記簿謄本(閉鎖事項全部証明書)
法人が合併または破産以外の理由
代表行政書士 山下 剛芳(やました たけよし)
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